日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
コロナ禍の脳梗塞急性期治療―Protected Code Stroke―
平野 照之
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2022 年 111 巻 5 号 p. 1017-1022

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抄録

脳梗塞急性期は時間との戦いであり,血管再開通までの時間が治療の成否を分けてきた.しかし,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)パンデミック下の最優先事項は感染防御である.ときに時間を犠牲にしてでも医療従事者の安全を確保する.これは結果として多くの脳卒中患者を守ることにつながる.このコンセプトを明示した脳卒中急性期診療指針がProtected Code Stroke(PCS)である.2020年4月に発表された日本脳卒中学会版PCSでは,まずCOVID-19未判定例(英語のpatient under investigationに相当する造語)を定義し,PCSの要点として(1)確実な個人防護具の装着,(2)患者へサージカルマスクの装着,(3)必要最小限の人員での対応を示した.その後,施設毎の実情に即したPCSプロトコルが作成され,コロナ禍の脳卒中医療提供体制を維持・継続している.

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