日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-037
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4. 臨床・障害
統合失調症者に対する動作療法を用いたセルフケアプログラムの試みとその効果の検討―コロナ禍等社会的ストレス状況に対応する心理支援として―
*上倉 安代清水 良三大川 一郎
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抄録

新型コロナウイルス感染症拡大により対面での心理支援が困難な状況にある現在,遠隔の支援にて一人で行えるプログラムの開発が望まれる。本研究の目的は,統合失調症者に対する動作療法を用いた遠隔支援につながるセルフケアプログラムの作成とその効果の検討である。デイケア通所中の統合失調症者8名に対し,動作援助を伴わない言語教示のみによる集団動作療法を週1回30分全7回実施した後,3週間の自宅での実施期間を設けた。プログラム導入前後では,心理的ストレス反応尺度(鈴木ら,1997),WHO-5精神健康状態表簡易版(稲垣ら,2013),第三者評価では有意な変化は認められなかった。一方,心身の統合に関わる自己感覚尺度短縮版(上倉,2018)の【主体的感覚】因子では有意傾向の上昇がみられ,自由記述式調査でのプログラムの感想はポジティブな内容であった。自宅実施期間は,感染症予防のためデイケアが休止となり外出も制限されていた。こうしたストレスの高まりやすい状況下でも,ストレス反応度と精神的QOLの悪化は認められず,セルフケアプログラムとしての動作療法の実施により,困難があっても自身で解決できるという主体的感覚が高まる可能性が示唆された。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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