全日本鍼灸学会雑誌
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教育講演
COVID-19における東洋医学の立ち位置
-多職種連携におけるそれぞれの役割-
高山 真
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2023 年 73 巻 1 号 p. 2-6

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抄録

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 患者は、 三密 (密閉・密集・密接) 回避、 ワクチン接種が進む中においても、 オミクロン株が主流となり増加し続けている。 東北大学病院は行政との連携の下、 大規模ワクチン接種センターやドライブスルー型PCR検査外来、 外来アセスメント、 軽症者等宿泊療養施設 (療養施設) 管理支援、 高齢者施設支援、 抗体カクテルセンターなどを運営し、 COVID-19による死亡を可能な限り抑制してきた。 特に医療機能付き軽症者等宿泊療養施設においては、 情報共有・往診システムの構築を行い、 広域ITシステムと連携したDXを展開し、 これまでに療養施設死亡者ゼロを継続している。 また、 日本東洋医学会では発病予防、 急性期治療、 遷延症状に対する漢方薬を活用した臨床研究を展開し、 急性期治療では漢方薬治療が重症化抑制に一定の効果を得ることを報告するに至っている。 遷延症状については、 自治体がまとめた症例集積報告に漢方薬治療や鍼灸治療の症例も含まれているものの、 特に後遺症と呼ばれる症状は多岐にわたることから、 治療の方向性や効果についての評価は定まっていない。 COVID-19対応は、 西洋医学、 伝統医学、 今後の医学の発展など複合した知識や技術の更新、 対応が長期的に続く。 今後も多職種間で、 情報発信、 情報共有、 現場への還元、 地道で絶え間ない努力が必要である。

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