日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
COVID-19流行下における腎臓病診療
小田原 幹菅原 真衣南學 正臣
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2022 年 111 巻 6 号 p. 1179-1185

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抄録

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者は新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)での死亡率や重症化率が高く,その重症度ステージによらず高リスクな集団である.特に,血液透析患者では集団での濃厚な医療曝露のため感染リスクが高く,感染予防・適切な隔離対応が必要となるが,入院病床数の問題から感染状況次第で診療所では感染確定患者の対応を要するケースも多く感染伝播が懸念される.腎臓病患者では免疫機能の低下からワクチン接種の有効性が低い可能性も示唆されているが,感染や重症化の予防のため重要と考えられる.COVID-19においては異常免疫やウイルスによる直接傷害等からの急性腎障害(acute kidney injury:AKI)が多いことも報告されており,重症化や死亡に関わる因子である.AKIの発症によらない長期的な腎機能の低下も報告されており,感染そのものが将来的な腎不全のリスクとなりうる.医療者はCKD患者におけるこれらのリスクを理解し,感染予防を含めた患者への適切な指導を行うことが重要である.

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© 2022 一般社団法人 日本内科学会
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