日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-041
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3. 社会・文化
新型コロナウイルス感染症に対する予防行動とポジティブな人格的強みの関係
*豊沢 純子竹橋 洋毅島井 哲志
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抄録

本研究は新型コロナウイルス感染症に対する予防行動とポジティブな人格的強みの関係を検討した。人格的強み研究はポジティブ心理学の研究領域の1つであり,これまで身体的・精神的健康や社会的達成と正の相関関係があることが示されてきた(Peterson & Seligman, 2004)。ただし感染症の予防行動との関係は未検討であり,本研究で検討した。WHOがパンデミックを宣言した翌日にWebで227名の成人に調査を行った。9種類の予防行動と24の強みチェックリスト(島井,2019)の関係について相関分析を行った結果,以下の結果が得られた。予防行動に注目すると,多くの強みとの間に有意な正の相関がある行動(e.g., 免疫機能を高くするための努力をしている)と,無相関かつ一部の強みとの間に有意な負の相関がある行動(e.g., 人混みを避ける)があった。特性の強みに注目すると,見通しは多くの予防行動と有意な正の相関があったが,寛容性と公平性はほとんどの予防行動と無相関であり,一部有意な負の相関があった。これら結果は,防災行動と強みの関係を検討した豊沢・竹橋・島井(2019)とは異なっており,安全の領域によって強みと予防行動の関係は異なることが示唆された。

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