主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する個人の感染予防行動の規定因を検討するために,2020年3月29-31日に南関東の1都3県に住む成人627名を対象としてWEB調査への回答を求めた。調査では個人の感染予防に関する行動(外出対策,咳対策・手洗い,健康維持,備蓄)を測定し,それらが新型コロナウイルスの身体的健康へのリスク認知,知識(主観的知識,客観的知識),政府への信頼感によってどう規定されているかを検討した。その結果,全体的傾向としては,予防行動はリスク認知と各知識の主効果が有意であった。主観的知識の効果が最も大きく,次いでリスク認知,客観的知識が続き,これらの水準が高い人ほど,個人として感染予防行動を行う頻度が高いことが確認された。なお,個人の感染予防行動の4つの種類別に同様の分析を行った場合には,感染予防行動の種類による違いが確認された。リスク認知,客観的知識,政府への信頼感は一部の感染予防行動との間にのみ有意な関連が確認されたが,主観的知識については,どの種類の予防行動においても,感染予防行動の実行頻度を促進する傾向が一貫して確認された。