学術の動向
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コロナ禍と現代社会 ─人文学・社会科学の視点から─
コロナ禍における日本人の不安感と政策に対する評価
──日本版総合的社会調査JGSS-2021から
岩井 紀子林 萍萍
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2021 年 26 巻 12 号 p. 12_18-12_26

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抄録

 自分や家族が感染する不安感は、感染者の増大局面に高まり、政府の対応に対する評価は増大局面で低下した(NHK政治意識月例調査)。2回目の緊急事態宣言下の2021年2月に実施した日本版総合的社会調査によると、感染不安は、女性、高齢者、製造業と不動産業従事者、慢性疾患のある人、経済的不安を抱える人、感染リスクを強く感じている層で強かった。感染する可能性が高いと考えていたのは、50歳以下、慢性疾患のある人、正規雇用者、医療・福祉サービス従事者であった。政策への評価は従事する業種や支持政党により異なり、経済不安をもつ層で低い。感染するのは本人の責任という考え方は、他人に向けられるが、それ以上に自分に対して厳しい。経済活動より感染拡大防止を優先すべきが68%、プライバシーより行動追跡を重視する意見がやや多く38%、国境封鎖は72%、移動制限は75%が重要であると考えていた。国会議員への信頼感は低下し、2000年以降で最も低い。

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