2022 年 96 巻 5 号 p. 173-178
目的:流行期ごとのCOVID-19入院患者の臨床像と予後,治療戦略の変化を明らかにする.
対象と方法:吉島病院に入院したCOVID-19確定患者358人(第3波116人,第4波137人,第5波105人)を後方視的に検討した.
結果:COVID-19ワクチンの接種が進んだ第5波では入院患者の年齢が若年化した.第3波ではファビピラビル使用例が多かったが,第4波以降にレムデシビル,バリシチニブ,抗凝固薬の使用例が増加した.入院時中等症患者が,入院後に重症/最重症,最重症へと悪化する頻度は,第3波と比べて第4波および第5波で減少した.高度低酸素血症をきたした42例の検討では,第4波以降にhigh flow nasal cannula(HFNC)の使用が増加し,ICUへの搬送や気管挿管を要した症例が減少した.
結論:治療戦略の確立,HFNCの積極使用,ワクチン接種普及による高齢患者の減少が,COVID-19入院患者の予後改善に寄与したと考えられる.