日本農村医学会雑誌
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看護研究報告
英語を母国語としない外国人COVID-19患者の看護支援の困難性と対策
濱野 里紗永尾 恵松野 多希子久保江 律子渡邉 恵代松田 純一花島 まり三谷 伸之久我 貴之
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2022 年 70 巻 5 号 p. 535-542

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抄録

 本研究は英語を母国語としない外国人新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対して,看護支援上の困難性とその対策を明らかにすることを目的とした。対象はCOVID-19病棟専任看護師16名。2021年5月から同年6月にCOVID-19の診断でCOVID-19病棟に入院した英語を母国語としない外国人13例に対して,入院から退院までの看護業務に関して,アンケート調査を行ない,困難な点を抽出しその対策を検討した。結果は言語による意思疎通からの看護情報収集の困難性が最も多かった。具体的には言語変換機を用いて簡単な会話は出来るが,通訳者を介さないと細かい症状や患者の訴えを正しく把握できなかった。患者の「大丈夫」との発言は文字通りに受け取ってはいけなかった。次いで細かい治療法や日本の生活習慣や病院でのルールの説明が難しかった。対策としては入院前に保健所や会社での十分な説明をしてもらう事が必要で,通訳を介しての説明や言語変換器と共に母国語での入院説明文書や看護情報収集カード作成は役立つ可能性があった。

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© 2022 一般社団法人 日本農村医学会
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