日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-144
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4. 臨床・障害
新型コロナウイルスの感染拡大予防のための一斉休校が子どものメンタルヘルスに与える影響―感染者が確認されていなかった地域における中学校での検討―
*石本 雄真山根 隆宏小林 勝年
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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡がりを防ぐことを目的として,日本では2月末から春休みに入るまで全国のほとんどの学校において一斉休校が行われた。これまでも,感染症の流行下における検疫や隔離による心理的な影響についての研究はいくつかみられるが(Brooks, et al., 2020),医療スタッフを対象としたものが多く一般市民を対象としたものは少なく,子どもを対象としたものはより少ない。本研究は休校開始からおよそ1か月が経過した3月末時点で中学生を対象に調査を行い,一斉休校が子どものメンタルヘルスに与える影響について検討したものである。調査を実施した2校のうち1校では12月時点の調査データとの比較も行った。結果として,休校終了後に元の日常生活に戻れるかどうかの不安が特にメンタルヘルスとネガティブな関連をすることが示された。その他,感染への不安や勉強が遅れることへの不安,休校中の生活の乱れもメンタルヘルスとネガティブな関連を示していた。12月時点の得点との比較で,全体としてはメンタルヘルスの悪化は示されなかったが,12月時点の学校適応が高かった者については,メンタルヘルスの悪化が示された。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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