日本環境感染学会誌
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報告
医療関連施設における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の実態~首都圏におけるアンケート調査結果~
小椋 正道櫻井 大輔岡部 春香荻野 夏子吉川 隆博沓澤 智子浅井 さとみ梅澤 和夫
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2022 年 37 巻 6 号 p. 256-264

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の精神科病院および介護福祉施設(介護老人保健施設[老健]と特別養護老人ホーム[特養])を対象とし,感染対策組織の設置状況や実施した措置,各種介助時や医療処置時に装着した個人防護具(personal protective equipment:PPE)のアンケート調査を行った.その結果,感染対策委員会は設置している(設置率86.7%)が,感染対策の専門家は不在であることがわかった(配置率9.1%).近隣の医療機関との情報共有についての実施率は精神科病院が50.0%(24/48),老健が59.5%(22/37),特養が42.4%(14/33)であり,約半数の病院・施設で行われていなかった.

PPEの装着状況では,マスクの装着率は全施設の全場面で100%であったが,その他のPPEでは標準予防策と乖離した装着状況が散見され,特にエアロゾル発生を伴う医療処置や介護施設の入浴介助の際に装着しているPPEはCOVID-19対策としては不十分なPPEを選択している病院・施設が多かった.

これらの状況を鑑みると,自施設の実態に合わせた感染対策マニュアルを作成する際は感染対策の専門家の意見を取り入れることが必要であり,近隣の医療機関との地域連携や外部の感染対策の専門家と連携できるシステムの構築が急務と考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本環境感染学会
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