主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
問題:感染症まん延禍の高齢者への認知機能検査は非対面式での実施が望まれるが,実施可能な記憶検査は限られる。本研究では縦断追跡として行われたタブレットPCを用いた非対面式検査で使用された記憶課題の性質に注目し,年代による変化の相違を検討した。方法:自治体と協働した認知検査イベント参加者のうち,2020年8~10月に行われた初回(T1)と約6ヶ月後の追跡(T2)に参加した107名(平均76.5歳,女性83名)を対象とした。認知検査を構成する12の検査のうち,記憶機能に関わると考えられる単語の直後・遅延再認課題と,画面上の引き出しに物品をしまい,干渉課題後にしまった場所の想起を求める連合型のエピソード記憶課題(引き出し課題)の得点を分析した。結果と考察:T1からT2における変化量の年代差(60代,70代,80代)はT1得点を共変量とする共分散分析を行い,得点変化については年代ごとにt検定を行った。その結果,引き出し課題の変化量に群間差があり,80代に得点低下が見られた(各p<.05)。単語再認では変化がなく,日常場面を反映した複合的な性質を持つ引き出し課題では,高年齢者のみに低下がみられた。